まったく新しい指紋センサーなど、攻めたデザインの製品登場が予感されるジャパンディスプレイ発表会

少し旧聞となりますが、1月23日にジャパンディスプレイ ソリューションカンパニーの発表会に出席してきました。

新型iPhoneに同社の液晶ディスプレイが採用になると噂が立ったり、昨年11月の四半期決算では赤字幅を倍増させていたりと、グループ全体では何かと注目されていますが、この日はジャパンディスプレイ ソリューションカンパニーが透明な静電容量式ガラス指紋センサーを開発したという発表です。

2018年度中の量産出荷を予定しているとのことです。ユーザーが購入する最終的な製品ではなく、製品に組み込まれる部品ですが、注目に値すると感じたので簡単にご紹介します。


静電容量式ガラス指紋センサーのデモ展示

注目するポイントは2つあります。

1つはプロダクト的な意味で、同社の開発したこの指紋センサーを採用した製品では、メーカーにとってデザインの自由度が上がること。

つまり、これまでなら指紋センサー搭載のために見送られていたデザイン案も生きてきて、よりスタイリッシュだったり、エレガントだったり、サイケデリックだったりする「攻めたデザインの製品」が登場してくる可能性が高まるわけです。


静電容量式ガラス指紋センサーの大判ガラス

もう1つはジャパンディスプレイがディスプレイ以外の領域を事業とする、スマートフォンと車載に続く第3の柱を立ち上げるということ。

同社はカンパニー制度を採用していて、通常の会社だと3つの事業部に分かれて活動しそうなところを、3つの会社に分かれて、ジャパンディスプレイ グループとして展開しています。


カンパニー制度や事業領域について説明する、執行役員 ディスプレイソリューションズカンパニー社長の湯田克久氏


ちなみに執行役員 チーフマーケティングオフィサーとして、元アクア社長の伊藤嘉明氏が参画しています

まずはデザインの自由度が上がる背景について簡単に説明します。

現在、指紋センサーはシリコン製が主流となっています。シリコン製は透明度が低く、「見るからに指紋センサー」というパーツになりがちです。ジャパンディスプレイの開発したガラス製はシリコンにはない透明性が活かせるため、バックライトやディスプレイと組み合わせやすく、従来なかった形の指紋センサーを可能にします。


静電容量式ガラス指紋センサーの仕様

例えば、バックライトと組み合わせることで認証が成功すれば青、失敗すれば赤に光るといったギミックは実施しやすく、よりユーザビリティの高いユーザーインターフェイスが作れそうです。

複数の指を一度にセンシングでき、曲面でも認証できるようになるとのことなので、両手で持つボール型のデバイスで10本全部の指紋を一度に取るようになるかもしれません。そうすると、たとえば入管などで一人ひとりセンサー付きのサッカーボールを両手で持たせて指紋を取る、なんて時代が来るかもしれません。

他にも、パソコンやスマートフォンなどのタッチ対応液晶画面が、そのまま指紋センサーとして機能すると便利そう。特定の領域だけでなく、広い範囲に大雑把に指を当てれば良くなれば、指紋を当てるために持ち替えたり、センサー付近をいちいち拭いたりといったことも少なくなるでしょう。ただ、いきなりこれを実現しようとするとコストが掛かってしまいそうですが。


複数の指を一度にセンシングできたり、曲面で認証できるように

発表会の会場には、デモンストレーションを多数展示していました。今回発表された指紋センサー以外の、ジャパンディスプレイ ソリューションカンパニーのコンテンツが色々並んでいたので、これらは写真で紹介しておきます。

展示物に未来感があって、ちょっとした展示会のようで興味深い説明会でした。


ノートパソコン向けディスプレイ。13.88インチで3000×2000ドット、260ppiを実現


横から見たところ、薄くてベゼル幅も狭いことがよく分かります。視野角が広いのも好印象


こちらは13.3インチで3840×2160ドット、332ppiのディスプレイです


1920×RGB×2160ドット、803ppiの解像度に対応した、VR専用高精細液晶ディスプレイ搭載のヘッドマウントディスプレイ


写真は片目を覗いた様子です。こんな感じの動画が再生されていました。リフレッシュレートは90Hz。高解像度なので片目だけでもすこぶる高い立体感が得られています


E-Ink横長棚札の展示。まずは海外から展開していく予定だそうです


E-Inkなので表示の切り替えにはちょっと時間が掛かります。アニメーションは難しいですね。しかし、低消費電力で表示でき、管理も容易だとのこと