中国のファッションブランドショップでは高級洗濯機を売っている!? 中国家電市場レポート

「家電Biz 春号」に掲載した中国家電市場の特別レポート記事を、家電Bizさんに掲載していただきました。著者はクロス北京支局の範麗嬌さんで、彼女が日本語で執筆した原稿を、私が編集しました。

ハイアールさんの高級家電ブランド「Casarte(カサルテ)」の販促事例を紹介する内容です。Casarteは、ローマ皇帝Caesar(カエサル)にちなんで名付けられているそう。日本で展開していないこともあり、日本語の資料は少ないので参考になるのではないでしょうか。

ここでは特に高級洗濯機の販促に注目し、無料クリーニングサービスや、銀行・保険会社・不動産会社などとの連携、ファッションブランドショップ店頭での展示などなど、日本では馴染みのない参考になる情報が豊富に盛り込まれています。

範麗嬌さんのレポートを編集していて気が付いたことの1つとして、中国では写真の中に撮影者が文字を入れるケースの多いことが挙げられます。聞けば、写真とコメントを別々にして渡すより、写真とコメントを1つにして渡したほうがズレたりせず間違いが起きないので合理的だとのことで、中国ではこれが一般的だと説明されました。

編集者の立場からすると、文字の編集ができなくなり、文章に間違いや不都合があっても直せなくなってしまうので本来なら止めて欲しい所業です。ただ、たとえ多少おかしな文章が入っていたとしても、日本人の読者の多くは中国語は分かりませんし、中国家電市場について現地の中国人が報告しているリアリティが滲み出てくると思い、敢えてそのまま使うことにしました。

範さんの原稿は、外国人とは思えないほど達者な日本語の文章なのですが、油断していると「間違ってはいないけれどあまり見かけない言い回し」が紛れ込んでいて、よく知っているなあと関心しつつ、もっと平易な言葉遣いに替えたりしました。そんな経験もできて、編集していてとても楽しい記事でした。

特別レポート 中国家電市場の今を探る

クラウドファンディングは流通の未来を変えるか

クロスさんで発行している家電流通専門誌「家電Biz Vol.7」2018年秋号が発行されました。秋号では幾つかの記事を担当しました。

第2特集の「クラウドファンディング 物づくりの新潮流 流通での活用は?」では、Makuakeさんの中山亮太郎社長をインタビューできました。「量販企業のバイヤーがネタ探しする場になりたい」と語っていたのが印象的でした。

Makuakeを筆頭に、クラウドファンディングサイトでは、ユニークな製品が前触れもなしにぽっと出てくるのが魅力です。クラウドファンディングサイトで注目された商品ばかりを並べるリアルショップがあっても良いと思うし、それが大型の量販店舗で1コーナーになっていれば魅力的だろうと思うのですが、なかなか難しそうです。

想像してみると、東急ハンズなんて実はまさにそんな店舗な訳ですが、どこにでも出店できる業態とはいえなさそうです。売り場に商品を並べる以外のことでも、何か流通企業がクラウドファンディングを上手に活用する手がないものかと思っちゃいますね。

このほか、クリーナーやWi-Fiルーターの商品記事も担当。クリーナーの記事ではシャークニンジャさんのゴードン・トム社長にも会えました。

トム社長は、ダイソンさんやエレクトロラックスさんの日本法人の社長を務めたこともあり、日本を熟知する知日外国人です。「日本人は“徹底的”と“こだわり”が大好きな一方で、完璧なものはないことも知っているため、常に改善を求める」といったことを述べいて、日本人をよく知っているなと感心してしまいました。

家電Biz Vol.7 (2018年09月25日発売)

30年目のウイルスバスター

トレンドマイクロさんの「ウイルスバスター クラウド」の最新版発表会のレポート記事を、家電BizさんのWebサイトに掲載していただきました。

「家電Biz」は季刊発行の家電流通専門誌で、2013年まで私が編集部に所属していた月刊誌「IT&家電ビジネス」をベースとしています。家電量販店の店長やフロア長に読まれていて、私が入った時点で既に30年以上も発行が続いていた雑誌でした。発行会社が2016年に倒産した際に、このまま失くすのは勿体無いということで、クロスという会社で編集部員を引き受けて誌名も変えて再スタートした経緯があり、最近になって私も古巣に顔を出す感じで手伝っています。

Webサイトは誌面に載せられないニュース性の高い記事を中心に掲載していくもので、流通向けの視点が盛り込まれているのが、他の一般消費者向け媒体と異なる特徴です。

さて、ウイルスバスターに話を戻します。今回の発表会は、ウイルスバスター30周年として、同社が10年ごとに掲げる新しいスローガンの発表もありました。それは「Securing Your Connected World」。日本語に訳すと「あなたの繋がる世界を守る」といったところでしょうか。

同社はスローガンとは別に、30年前から「デジタルインフォメーションを安全に交換できる世界の実現」をビジョンとして掲げており、10年毎のスローガンはこのビジョンと矛盾しない内容になっています。

会場では駆け足で同社の30年を振り返る時間もありました。会場では割愛されていましたが、実はトレンドマイクロの日本法人は、株式会社リンクという別の名前からスタートしています。「ウイルスバスター95」が登場する頃には、ワールドワイドと同じトレンドマイクロに社名を変更していたと思います。私はそのリンク時代から、ウイルスバスターにお世話になっていて、30年のうちの28年くらい、ソフトの進化を見てきたことになります。

振り返りのスライドが切り替わるたびに「懐かしい」と声を上げそうになっていました。決して順風満帆ではなく、セキュリティソフトの中では一番山あり谷ありで来たブランドでしょう。よくぞ続いてくれたと思います。

そんな、30年目のウイルスバスターでは、AIによる未知の脅威への対策強化が図られています。未知の脅威は、「そのユーザーのPCが初めての感染例」と考えると分かりやすいです。細かな説明は省きますが、基本的は「不自然な動作を検知してシャットアウトすることで守る」仕組みです。

この脅威への対策の歴史はなかなか興味深くて、他社ソフトも含め、いつかどこかでストーリーとしてまとめて読めるようにしてくれたら、さぞかし面白いだろうにと思っていたりします。絶対大変な作業になると思いますけれど(笑)

ネットの脅威に対抗するウイルスバスターの最新版が登場 セキュリティ対策に期待される家電量販店の役目とは

家電Biz夏号にエアコンとクリーナーで寄稿

クロスが発行する家電流通プロフェッショナルのための専門誌「家電Biz」夏号に寄稿しました。紙の仕事は久し振りです。

エアコンとクリーナーの記事で、多くのメーカーを回って取材したのですが、回りすぎて一社あたりの紹介スペースが十分に確保できなかったのは反省点になりました。もっと一社ごとで書きたい内容があって勿体無い限り。随分以前にも、似たような失敗をした覚えがあって、気を付けねばならないなと思いました…。

2017年度のエアコン市場は非常に好調で、JEMA統計で905万台の出荷、金額ベースで7343億円超でした。エコポイントで特需となった2013年度に次ぐ高水準。GfKの調査では販売台数、金額ともに前年度比106%です。

こういう話、消費者はあんまり興味がないかもしれないですが、業界では結構大きな話なのです。

家電Bizは時事性の高い情報はウェブに掲載しています。ウェブサイトは特に購読などしなくてもブログ形式で読めますので、流通情報に興味のある方はぜひ一度覗いてみてください。


家電Bizのウェブサイト

ちなみに家電Bizは、リックが30年以上に渡って発行してきた「IT&家電ビジネス」(旧名「家電ビジネス」)が前身となっている書店では販売していない、いわゆる業界誌です。IT&家電ビジネスは2017年に発行会社の倒産に伴って廃刊となっており、家電Bizは元編集部のメンバー達がクロスに移籍して制作しています。

実は私は2007年から2014年まで、このIT&家電ビジネスに編集者として関わっていました。流通の仕組みや店舗の見方など、様々なことを学ばせてもらったものでした。

家電Bizの仕事は、いわば古巣での仕事だった訳ですが、いろいろと勝手も異なって、後になってみると「もっと上手くやれたはずだったなあ」と感じる次第です。もっとも、取材で回っている間は昔を思い出すようでそれなりに面白かったんですけれどね。家電は面白いです。


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