1,000ppmってどのくらい?CO2センサー搭載で換気を促すシャープのエアコン

シャープさんのエアコン2023年モデルが発表されました。2023年1月の発売予定。プラズマクラスターNEXTを搭載し、COCORO AIRにも対応する、フラグシップとなるR-Xシリーズです。

R-Xシリーズ説明会の展示の様子

R-Xシリーズでは国内の家庭用エアコンとしては唯一となる二酸化炭素(CO2)センサーを搭載し、室内の濃度が基準値を超えると本体のランプの色やリモコン、スマホのアプリなどでお知らせし、窓開け換気を促します。

CO2濃度を正しく検知して換気を促します

エアコン業界では当たり前でも、一般消費者には意外と知られていないこととして、「普通のエアコンの室内機から出てくる風は外気ではない」という知識があります。エアコンは室外機と繋がっているため、室外機から空気を取り込み、室内の空気と入れ替えながら風の温度を調節しているイメージが強いのですが、実際は室内の空気を循環させているだけです。室外機とは「室温」を行き来させていて、空気は移動しません。

つまり、普通はエアコンを稼働しても換気できません。エアコンのフィルターで室内の空気の汚れが取り除かれることはあっても、空気中の酸素や二酸化炭素の濃度に作用することはないのです。

とはいえ、最近はこの風潮にも変化が出てきていて、上位モデルの中に換気機能を搭載するメーカーが増えてきています。その多くは配管(ダクト)を利用して上記イメージに近い吸気換気や排気換気を行います。

そんな中、シャープさんのエアコンは窓開け換気を促すという、いささかアナログなアプローチに感じます。シャープさんによると窓開けによる換気能力はエアコンに換気機能を搭載して実施するより遥かに優れていると言います。このため、コストアップを抑えて換気するには、ユーザーに窓開けを促すのが一番との結論に達したそう。換気のための窓開けは概ね5分程度で大丈夫とのことです。

換気の終了も検知して自動で暖房のパワーを高めます

エアコンの運転中に換気のために窓を開けると、冬場なら室温が下がるため、室温を保とうとするエアコンには余計な負荷がかかり、電気代が上がって省エネにならないと感じるかもしれません。しかし、5分程度の換気で窓を閉めれば、それほど負荷にならずに運転が続けられるとのことでした。

ランプはエアコン本体の電源やWi-FiのLEDランプの並びにあります。換気を呼びかけるCO2濃度は標準では、1,000ppmとなっています。この1,000ppmという数値は厚生労働省が換気を推奨する濃度です。基準値を超えるとLEDの色がグリーンからオレンジ、レッドへと変化し、音声で窓開けを呼び掛けます。

CO2濃度が高くなっていると「CO2」のLEDランプがオレンジに

説明会場では濃度1,000ppmを検知する様子や、検知した後の動作について説明を受けました。しかし、実のところ1,000ppmという基準値の深刻性がまったくピンときませんでした。

説明会のあとで私が勝手に調べた情報ですが、二酸化炭素濃度による人体への影響は個人差があるもののだいたい以下が目安になります。1,000ppmという基準値はもちろん、その前後についても、こういう目安がないと必要性がイメージしづらいでしょう。

リビングなどに人が集まると、CO2濃度は急速に上昇します。火を使う料理など楽しもうものなら、1,000ppmはあっという間に超えますし、そうでなくても1~2時間滞在すれば超えてしまいます。適度な換気が必要です。

R-Xシリーズでは窓開けを喚起するCO2濃度基準値は、スマホのアプリから100ppm単位で調整可能になっています。1,000ppmでは頻度が高すぎてうるさいと感じる場合は、1,200ppmなどに調整したり、CO2濃度に敏感ですぐに頭痛や眠気を覚えるようなら、800ppm程度に抑えたりすると良いかもしれません。

換気を促す濃度はスマホアプリ上で調整可能

CO2濃度が十分に下がると、LEDランプがグリーンになり、「お部屋の空気が新しい空気に入れ替わりました」と音声でも知らせます。窓を開けたままだと、今度は電気代がかさむので速やかに窓を閉めようということになります。「窓を開けてもちゃんと換気できているのか分からない」という人にも良い機能だと思います。

ちなみにR-Xシリーズが採用するCO2センサーは、高性能な光音響方式。安価な半導体方式では、センサー周囲でアルコールスプレーを使うと誤検知してしまうといった問題がありますが、光音響方式ではそうした心配がありません。

CO2センサーの半導体方式と光音響方式での違いを実演。半導体式はアルコールスプレーで顕著に誤検知していました

お部屋の換気に気配りしたい人は注目してみては如何でしょうか。

対応畳数、型番、市場想定価格は以下の通りです。

主に26畳向け「AY-R80X2」…44万円前後
主に26畳向け「AY-R71X2」…42万円前後
主に26畳向け「AY-R63X2」…40万円前後
主に26畳向け「AY-R56X2」…38万円前後
主に26畳向け「AY-R40X2」…35万円前後
主に26畳向け「AY-R36X」…34万円前後
主に26畳向け「AY-R28X」…33万円前後
主に26畳向け「AY-R25X」…32万円前後
主に26畳向け「AY-R22X」…31万円前後