パナソニックさんの新戦略発表会に出席しました。『「新たな商売の基準」について~IoT・サービスの取り組み、進捗・新サービス』と題されており、パナソニックさんが2023年4月に発表した「新たな商売の基準」の進み具合の報告と、新しい展開についての発表です。
パナソニックさんは、2023年4月に「新・商売の基準」を発表しており、IoT延長保証サービスは、7カテゴリー約500品番に到達。2023年度末に900品番までを目標に進捗中だそうです。配送設置時にIoT接続を無料で行うサービスが好評とのこと。
アフターサービス体制を強化しており、購入した後もアプリで新たな価値を提案するIoTの取り組みを進化させていき、購入後の満足度向上を図るとしています。
新サービスは「Panasonic Factory Refresh(パナソニック検査済み再生品)」の陣容を10カテゴリーに拡大し、併せて「Panasonic Store Plus」で販売と定額利用サービス(サブスクリプション型サービス)を行うとの内容でした。Panasonic Factory Refreshは、同社基準を満たした高品位なリファービッシュ品の新しい名称です。
10カテゴリーは、具体的には、洗濯機・有機ELテレビ・ポータブルテレビ・ブルーレイディスクレコーダー・一眼カメラ・ドライヤー・食器洗い乾燥機・冷蔵庫・炊飯器・電子レンジとなっています。
また、パナソニックさんのサブスクリプション型サービスは、契約件数が前年比210%UPで伸びているそうです。
リファービッシュ(refurbish)とは初期不良などでメーカーに返品された商品や、店頭展示品、長期在庫品などを、新品に準じる状態に仕上げた再生品のことで、「中古整備済品」「修理再生品」などとも呼ばれます。
一般消費者がイメージする中古品とは、中古自動車や古本、あるいはメルカリやヤフオクに代表されるような、他の消費者が使用して手放した製品のことなので、メーカーの厳しい出荷基準を満たす新品とはだいぶ乖離があります。このため、「新品に準じる状態」と言われてもピンと来ない人も多いのではないのではないでしょうか。
実際、この発表会当日の各社報道を見ていると、テレビのニュースなどは「中古」の言葉しか使っていませんでした。取材した記者がリファービッシュの意味を知らないか、あるいは知っていても消費者が理解できないと思ってざっくり言い切ってしまったのか、誤解を与える印象でした。
リファービッシュは大きなくくりとして「中古」でも間違いではないし、厳密には「新品」と言えないだけに、パナソニックさんに限らずメーカーは「新品同様」の言葉はあまり使いません。ここは報道側が汲み取って「使用する上で、新品同様と思って差し支えない」等と言い換えてやらないと、消費者のリファービッシュ品に対するイメージが実像とだいぶ異なってしまうのではと感じました。
さらに「パナソニックが中古品を自社サイトで販売する」と表現すると、流通業を敵に回すような印象も出てきます。実際は流通各社に丁寧で誤解のない説明がなされているはずで、発表会でももっと消費者寄りの平易な説明があったほうが良かったのかもしれません。メディアが不勉強なのが一番の原因なのですけれどね。
私もリファービッシュ品はどの時期にどのくらいの数が揃うか長期予測はできないから、販売計画を立てにくいはずだと考えていました。しかし、聞けばパナソニックさんくらい大規模なメーカーになると、初期不良率や長期在庫品の返品率なども統計のデータからだいたい見えてくるのだそうで、大きな数がある訳では無いとの前置きをしつつも、ちゃんとビジネスとして責任を持って継続できるだけの計画が立っていると述べていました。このあたり、素直に脱帽です。
この件に関しては大仰な売上目標などは掲げておらず、これからスキームを作っていくとのことで、まずは国が取り組む持続可能な社会の実現という流れに、家電メーカー最大手としての姿勢を示したと言えそうです。