最近、Facebookに掲載される広告に悪質なものが増えて社会問題化しています。
有名人の顔写真や動画を勝手に使って出資者を募る広告は、ホリエモンこと堀江貴文さんや、ZOZOを運営するスタートトゥデイの元社長・前澤友作さん、ユニクロを運営するファーストリテイリングの会長 兼 社長の柳井 正さん、ジャーナリストの池上 彰さんなどが被害に遭い、Facebookを運営するメタ社に対して速やかな対応を訴えています。
そんな中、私のFacebookのフィードでヨドバシカメラさんを騙る詐欺広告を見かけたので、ここで報告と注意喚起を促しておきます。
写真にはヨドバシカメラさんのロゴを合成しています。DELLさんのノートパソコンが303円で購入できるという触れ込みで、「詳しくはこちら」を押下させる狙いです。その先もあるのかもしれません。興味本位で押さないようにしましょう。君子危うきに近寄らずです。
投稿者は「Yodobashi Laptop」のアカウント名で、なぜか3,000人近いフォロワーがおり、星4.97と極めて高い評価が付いています。
303円は少額であり、金銭を直接だまし取るのが主目的の詐欺ではなさそうに見えます。しかし、個人情報を抜き取られて「詐欺に引っかかりやすそうな人物リスト」に加えられる可能性があります。
近年は様々なところで漏れ出る個人情報を集めて分析し、個人の興味の方向性や付け込みやすいところ(ウィークポイント)を探ってアプローチするようになってきています。その人の騙されやすいところを狙って騙しに来るように、騙す側も進化しているのです。
詐欺師から見ると「騙されやすい人だけを騙せられれば、効率良く稼げて通報されるリスクも低く」なります。誰もが騙される巧妙な手口ではなく、騙される人だけが騙されて泣き寝入りさせる手口が彼らの理想。それには手口そのものは稚拙でも全然構わないのです。
つまり、情報弱者やウィークポイントをさらけ出している人ほど、狙い撃ちされる世の中になってきていると言えます。個人情報を大切に守り、悩み事や困っていることを安易にSNSで発信しないように気を付けましょう。
ちなみに写真のPCはプライスポップには「DELL Inspiron 15 3520」と表記されていますが、展示されているのはそれと異なる製品です。実際は「DELL G15」シリーズのどれかと思われます。日本語仕様ではなく中国語仕様のようなので、中国語圏のどこかで撮影した写真をベースにしているのでしょう。ヨドバシカメラさんは今のところ海外に店舗はないので、ヨドバシカメラさんで撮影されたものですらないということです。
消費者に向けた注意喚起が必要なのはもちろんですが、いつこの「ヨドバシカメラ」の表示が「ビックカメラ」や「ヤマダデンキ」に入れ替わるか分かりませんし、「DELL」が「NEC」や「富士通」に入れ替わるか分かりません。PC以外の製品が利用される可能性もあります。
そう考えると、流通やメーカー全体でメタ社に苦情を申し入れ、圧力をかけたほうが良いのではないかと感じます。基本利用が無料のFacebookで収益を上げていくには広告が重要な点には理解を示さねばなりませんが、それを差し引いてもメタ社の広告に対するスタンスは杜撰を通り越して悪質に近く、消費者庁から行政指導して、改善されなければ法的措置を取ったほうが良い段階に来ているのではないでしょうか。
また「ネットは危険だ」といたずらに指摘し、不安を煽るだけで、まるで悪党に手口を教えているかのような一部オールドメディアの情報発信にも疑問を感じています。適切な対策を促すように働きかけるのはもちろん、ネットが玉石混交の場であり、便利さと危険さを併せ持つ、包丁や自動車と同じように扱いに気を付ける必要のある道具なのだと理解して報じてほしいものです。