富士通ゼネラルさんの「家庭用エアコンの新省エネ基準及び市場の動向について」と題したメディアセミナーに出席しました。たまに各社によるこうしたお勉強会に出ていますが、とても参考になってありがたいです。
富士通ゼネラルさんはエアコン「ノクリア」シリーズを展開している空調機器メーカーです。
家庭用エアコンにおけるトップランナー制度のこれまでの歩みから始まり、そもそもトップランナー制度とは何ぞやとか、目標年度がいまどうなっているのか、寸法区分が廃止されたこと、寒冷地が定義されたこと、時期目標基準の区分のまとめ、新しい省エネラベルの表示制度など、興味深い話がいろいろ聞けました。
トップランナー制度とは、省エネルギー基準を現在商品化されている製品の中で最も優れた製品の性能以上に設定し、さらに技術開発で将来到達が見込まれる性能まで考慮して内容を吟味した決まりのこと。エアコンの性能はAPF(Annual Performance Factor)という、消費電力量1kWh当たりの冷暖房能力で示されます。単位はkWhです。
要するに現在の高級機のAPF値が、目標年度以降に達成すべき基準になるよという話で、そうなるとエアコンの平均価格が上がって消費者の経済的負担が増すよということが、いま業界で問題になっていて、色々対策も練られている訳です。現在、エアコン業界で定められている目標年度は2027年です。
エアコンには寒冷地仕様のモデルがありますが、肝心な寒冷地の定義が今までなかったそうで、2050年のカーボンニュートラル達成に向けて寒冷地区分が設定されました。これも「え、そうだったの?」と驚きました。確かにこれまでは漠然と、冬になると雪深くなる寒い地域という認識で、北海道・東北・北陸のイメージでした。考えてみれば、もっと南の地方でも標高の高い場所は雪深くなります。そうした場所も具体的な地名として定義されたのですね。
また、一般社団法人 日本冷凍空調工業会で、寒冷地仕様の機種の別称として「暖房強化型」が業界統一用語として定義されました。今後、各社のカタログや販促物での記載を促していくとのことです。
新しい省エネラベルでは、より細かな段階評価が明示され、年間消費電力量に基づく電気料金の目安もより大きな表記が求められます。
この電気料金の表記についての話の中でちょっと興味を引いたのが、目安を決めているのが誰で、どの程度正確なのかというもの。去年の8月に都内電気料金の目安単価が税込27円/kWhから税込31円kWhになりましたが、この目安単価を決めているのは、公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会なのだそうです。
家電量販店のエアコン売り場などで掲示される省エネラベルの電気料金の表記は、この協議会が出した数値を基に計算されています。電気代が値上がりしているため、製品ごとで見るとすでに実態と合わない数字になっているものの、この数値は製品を横並びで比較するためのものなので、刻々と対応する予定はないとのことでした。
もっといろいろと大事な話はあったのですが、ここではとりあえず説明しやすくて目立った話だけ紹介しました。またお勉強の機会があれば積極的に参加したいです。