世界初の革新的な技術を取り入れた鹿島建設のトンネル掘削機「NATBM」を取材

鹿島建設さんの新しいトンネル掘削機「NATBM(ナトビーエム)」の取材記事を、サーイ・イサラさんの11月号に掲載して頂きました。紙媒体なので記事へのリンクはありません。

私がよく記事にする家電やIT系ではなく、売り物ですらない「道具」の取材です。畑違いではあるのですが、新鮮さも相まってとても熱くなれる取材でした。

NATBMはトンネルを掘り進む巨大なマシン、トンネル掘削機です。掘削機には実はいろいろな種類があります。トンネルというと、道路や地下鉄のトンネルを真っ先に思い浮かべますが、今回取材したNATBM(ナトビーエム)は黒部川電力新姫川第六発電所における水力発電用の導水路を作るためのトンネル掘削機です。

トンネル掘削機は目的のトンネルの直径に合わせて作るので、いわばすべてが特注品。使い終わると前方のカッターヘッド部はボロボロになっていて、他の現場で使い回すということはまずないそうです。新しいNATBMは、これまでにない革新的な仕組みを備えていて、NATM(ナトム)工法とTBM(ティービーエム)工法の2つの工法を1台で利用できる世界初の機械ということでした。

実物は流石に見られませんでした。巨大な機械を間近で見てワクワクしたかったので、その点はちょっと残念でしたが、稼働中は岩盤の中を掘り進んでいるので、見学することも写真に撮ることも物理的にできません。しかもこのトンネル掘削機という機械は、後ろにベルトコンベアなどの装置が連なる巨大な「システム」なので、基本的に前進しかできないように設計されており、後退させて入り口から出して見せてもらうなんてことはできないのです。

今回は鹿島建設の土木管理本部で統括技師長を務める西岡和則氏にインタビューして、新しくなったポイントや、なぜそれが今まで実現できなかったのかといったところを根掘り葉掘り聞かせてもらいました。

トンネル業界の常識など知らなかったことが沢山あり、目からウロコな驚く話が幾つも出てきて面白かったです。読者にこの面白さの何分の一かでも伝われば良いなと思います。

原稿を書く際に困ったのが、NATM工法とTBM工法の記載について。NATMは「New Austrian Tunneling Method」の略で、「新オーストリアトンネル工法」のこと。平たく言うとアルプス山脈のトンネル工事向けに開発された工法です。一方、TBMは「tunnel boring machine」の略で、「トンネルボーリングマシン」とそのまま片仮名になるとおり機械そのものを指します。つまり、NATMは本来略語の中に工法の意味が含まれるので、NATM工法という呼び方は二重表現なのです。しかし、トンネル業界ではもっぱら、工法のことも機械のことも、NATM、TBMで話は通るので、二重表現になることを気にする人など恐らくいないのでしょう。本文で説明するといたずらに長くなってしまって行数を取るし、悩んだ末、脚注で逃げました。こういうところは、雑誌作りならではの苦労かなと思います(笑)

サーイ・イサラ 11月号 日本のモノ語り「第49回 トンネル掘削機「NATBM」(鹿島建設)」

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